板張りの大広間。先生が巨大な筆を全身で振り下ろし、墨が扇形に飛ぶ。目を見開くさくら。受け取った筆の重さで、腕ががくんと下がる。墨を吸った穂先から、しずくがぼたぼた落ちる。筆を頭上に掲げて、紙の上を一歩

板張りの大広間。先生が巨大な筆を全身で振り下ろし、墨が扇形に飛ぶ。目を見開くさくら。受け取った筆の重さで、腕ががくんと下がる。墨を吸った穂先から、しずくがぼたぼた落ちる。筆を頭上に掲げて、紙の上を一歩ずつ。上の真ん中に下ろそうとした瞬間、重さに体を持っていかれて、筆がどすんと落ちる。大きな墨だまり。頬に、墨の点がひとつ。先生はしみをじっと見て、うなずき、「続けて」と手を流す。 頬に墨をつけたまま、口を結んでうなずく。墨だまりのすぐ下に穂先を下ろし、後ろへ下がりながら線を引く。全身で振り下ろして、まっすぐ下へ。手首を返して、はねる。腕を組んだ先生が、小さくうなずく。体をひねって左へ払い、右へ抜く。肩で息をする。二人で紙の端を持って、立ち上げる。あの墨だまりは、『永』の一画目の点になっていた。見上げて、笑う。 友達が手持ちで撮った記録。1カット2秒前後、セリフ・字幕・BGMなし。画面に出るのは二人だけ。筆は1本、紙は1枚、字は『永』一文字だけ。書いている途中は字の全体を映さず、全体が見えるのは紙を立てたときだけ。完成した字は、前半の墨だまりのコマから作った参照画像どおり。

@akiyoshisan

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