秋の晴れた昼、山あいの古い民家の裏庭。切り株の割り台に丸太の玉を立てて、斧で薪を割る薪割り体験。さくらが振り下ろした斧が、カンと弾かれて跳ね返る。もう一振りすると、刃が浅く刺さって、玉ごと持ち上がって
秋の晴れた昼、山あいの古い民家の裏庭。切り株の割り台に丸太の玉を立てて、斧で薪を割る薪割り体験。さくらが振り下ろした斧が、カンと弾かれて跳ね返る。もう一振りすると、刃が浅く刺さって、玉ごと持ち上がってしまう。白髪の先生が吹き出して斧を受け取り、膝を軽く曲げて一振り。パカッと真っ二つ。腕を伸ばしたまま重さで落とす、と身ぶりで教わって、さくらも真っ二つ。割った薪を放って次の玉を乗せるあいだに、先生は右奥の丸太の山へ玉を取りに戻る。 山の上の段がずれて、長い丸太が崩れ落ちる。跳ねながら先生の背中へ転がってくる。先生が振り向く。さくらがとっさに右の手のひらを突き出す。丸太が3本、先生の胸の前の空中で、ぴたりと止まる。土ぼこりも、木の皮のかけらも止まったまま。震える手。浮いたままの丸太。手の力が抜けると、ドサッと地面に落ちる。腰を抜かして座り込んだ先生が、さくらの顔を見上げて、それから手のひらを見る。さくらも、自分の手のひらを見る。
@akiyoshisan